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親分も首をかしげていましたが

「親分も首をかしげていましたが、自滅じゃあどうも仕方がないと……」「そうさ。自滅じゃあ詮議にもならねえ」
 それからおみよが平素の行状などを少しばかり訊いて、半七はここを出た。しかし彼はまだ腑に落ちなかった。たといおみよが自分で喉を絞めたとしても、誰がその死骸を行儀よく寝かして置いたのであろう。長五郎はどう考えているか知らないが、単に自滅というだけで此の事件をこのままに葬ってしまうのは、ちっと詮議が足りないように思われた。それにしても、おみよの書置が偽筆でない以上、かれが自殺を企てたのは事実である。若い女はなぜ自分で死に急ぎをしたのか、半七はその仔細をいろいろに考えた末に、ふと思い付いたことがあった。彼はそのまま神田の家へ帰って、松吉のたよりを待っていると、それから五日目の午すぎに、松吉がきまりの悪そうな顔を出した。
「親分、どうもいけませんよ。あれから毎日張り込んでいるんですけれど、野郎は影も形も見せないんです。草鞋を穿いたんじゃありますめえか」
プレゼント 夢彩工房 天使のプレゼント
投稿者 クレジットカード 16:31 | コメント(0)| トラックバック(0)
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