2013年03月31日
黙阿弥自作の脚本
後に黙阿弥自作の脚本をよむと、この台詞は「手水などが要るものか。返すがえすも残念なことじゃ。」とばかりで、稽侍中の血などの文句は見えない。これは団十郎の自作か、あるいは誰かに教えられたのか。いずれにしても、団十郎が原作の脚本にあきたらず、種々の改訂を試みたのは事実であったらしい。
「夢物語」に対しては、諸新聞の評判もよかった。江戸の残党の劇通連も“新しい芝居”だといって賞讃した。これからの芝居はこうでなければいけないと言い触らす人もたくさん現われて来た。今にして思えば、こうならなくて仕合わせであったが、わたしも実はこうなるものかと思っていた。
新富座がこれほどの大入りを占めているのに対して、いかにも惨めな不景気を示したのは、それと競争して殆んど同時に開場した千歳座であった。一方が団十郎、左団次、小団次、秀調、源之助という顔ぶれに対して、千歳座は菊五郎、九蔵、松助、寿美蔵、国太郎、伝五郎という座組で、まず五分五分の勝負が付けられそうなものであったが、一方のおびただしい景気に圧倒されて、千歳座側はさんざんの敗軍であった。狂言は「恋闇鵜飼燎」という散髪物で、菊五郎の芸妓小松が笹子峠で狼に啖われるのと、菊五郎の二役鵜飼甲作がほんとうの鵜を遣って見せるというのとで、初日前の噂はなかなか高かったが、さて開場してみると、明けても暮れても薄暗い陰気な場面ばかりだという不評で、一向に客足が付かなかった。わたしの見物した日も気の毒なような不入りで、ここには“多摩川の河原”が一面に大きく開けていた。iPhone 買取 iPhone55! クレジットカードでSEO対策するぜ
「夢物語」に対しては、諸新聞の評判もよかった。江戸の残党の劇通連も“新しい芝居”だといって賞讃した。これからの芝居はこうでなければいけないと言い触らす人もたくさん現われて来た。今にして思えば、こうならなくて仕合わせであったが、わたしも実はこうなるものかと思っていた。
新富座がこれほどの大入りを占めているのに対して、いかにも惨めな不景気を示したのは、それと競争して殆んど同時に開場した千歳座であった。一方が団十郎、左団次、小団次、秀調、源之助という顔ぶれに対して、千歳座は菊五郎、九蔵、松助、寿美蔵、国太郎、伝五郎という座組で、まず五分五分の勝負が付けられそうなものであったが、一方のおびただしい景気に圧倒されて、千歳座側はさんざんの敗軍であった。狂言は「恋闇鵜飼燎」という散髪物で、菊五郎の芸妓小松が笹子峠で狼に啖われるのと、菊五郎の二役鵜飼甲作がほんとうの鵜を遣って見せるというのとで、初日前の噂はなかなか高かったが、さて開場してみると、明けても暮れても薄暗い陰気な場面ばかりだという不評で、一向に客足が付かなかった。わたしの見物した日も気の毒なような不入りで、ここには“多摩川の河原”が一面に大きく開けていた。iPhone 買取 iPhone55! クレジットカードでSEO対策するぜ
投稿者 クレジットカード 13:46 | コメント(0)| トラックバック(0)
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